台風の時に、どうすれば仕事を休めるのか考えてみる

2018年9月4日台風21号の影響で、私が住んでいる岐阜県岐阜市はとんでもない強風が吹き荒れていました。台風が上陸した場所に比べれば、まだマシだったのかもしれませんが、あちこちで倒木がありましたし、大規模な停電も発生しました。

 

そして我が家もしっかり停電しました。懐中電灯の灯りでなんとかやり過ごしたものの、とても不便な一夜を過ごしました。

 

この記事を読んでいる方の中にも、台風の影響を受けた方がいらっしゃるかもしれません。皆様に被害がなかったことを心よりお祈りいたします。

 

さて、今回のように台風が来る度、出社すべきかそうでないかの議論が起こりますが、労働者の意見の多くがそうであるように、私も原則出社すべきではないと思います。

 

とはいえ、現実的にはそうはいかないのが今の日本企業です。私が過去に勤めていたどの職場も同じでした。「台風=危険=休み」という発想がそもそもないのです。

私は台風が来るたびに、どうやったら自然に休めるのかをいつも考えていました。

 「台風休み」という分野の専門研究員と名乗っても良いかもしれません。


誰しも台風の時まで出勤したくはありませんが、実際は、台風の中でもやるべき仕事はあります。都道府県・市町村・警察・消防をはじめとした公的機関や電気・ガス等のインフラ、ケガをした方を搬送する先である病院は、被害発生時であっても必ず必要とされる仕事であると言えます。これらの仕事は台風被害の軽減、防御、復旧を担っているからです。台風から世の中を守るための仕事があります。

 

今回の台風被害でも何台ものパトカーを見かけましたし、停電した信号機のある場所では、警察官が手信号で対応されていました。大変な業務、本当にお疲れ様です。

 

一方台風当日にすべきでない仕事とは何でしょうか。実際は、台風から世の中を守ることが本業でない限り、台風直撃の日に絶対すべき仕事など、ほとんどありません。大事な打合せや会議、お客様の対応があったとしても、日にちを改めるべきです。

 

日本のサラリーマンはとても真面目です。台風だからといって会社を休むなどもってのほか、重要な会議に出席できないことが、この世の終わりのような感覚を持っている人もいます。そのような方は何がなんでも会社までたどり着こうとします。

 

私にはそうは思いません。台風に恐怖を感じて休みたいと思うことは、人間として自然な反応だと思います。

 

そして、台風の日に重要な会議ができなくても、この世は終わりません。

 

別の日に改めて予定が組まれるだけです。人生が大きく狂うこともありません。

 

その代わり予定変更のための調整は必要です。関係者に説明をする必要があります。でもそれは決して難しいことではありません。

 

そもそも関係者も台風の存在を知っていますし、台風の影響がいつ頃になるのかは、今やスマホ一つで簡単に調べられます。台風情報はかなり前から分かりますので、時間が全くない訳でもありません。


そして、「台風で危険が伴うため、○○を延期させてください。」というお願いが、全く理解できないと思う社会人もいないでしょう。多くの方は、「そうですね。延期しましょう。」と思うはずです。

 

ではなぜ、実際にはそれがやめられないのでしょうか。

 

台風の日でも仕事を優先するということは、言いかえると、経営者が台風による被害(関係者や従業員のケガ・事故)よりも、その日仕事をしなかった場合のデメリットの方が大きいと考えていると言うことです。

つまり、

「台風被害の損失(従業員等のケガ・事故)<予定を変更した場合の仕事上のデメリット」

という考えをもっているということです。


仕事上のデメリットとは、会社の損失と言いかえることができますので、

「台風被害の損失(従業員等のケガ・事故)<予定を変更した場合の会社の損失」

となります。

 

世の中には、私が経験したことがない仕事が星の数ほどありますので、ひょっとしたらこの式が成立する仕事も中にはあるかもしれません。

 

しかし実際には、たかだか予定を変更した時のデメリットが、従業員等のケガ・事故のデメリットを上回ることがあるのでしょうか。


少なくとも私の周辺には、そのような仕事はありません。

 

従業員や関係者に危険を与える行為とは、従業員や関係者を軽視する行為です。
従業員や関係者がケガをしたら、あっという間にネット情報が拡散する時代です。経営者としてもリスクが高すぎます。

 

従業員が出勤できないほどの異常気象の中、24時間営業を無理やり命じた某コンビニの本社は、どれほどの批判を世間から浴びていたでしょうか。企業にブランド力や体力がなければ潰れているレベルです。


台風でも従業員を休ませない経営者は、このリスクの重要さに気づいていません。


逆に言うと、台風で仕事を休みたいと思えば、まずこの点を訴求できるような訴えをする必要があります。

 

つまり、
「台風被害の損失(従業員等のケガ・事故)<予定を変更した場合の会社の損失」
ではなく、
「台風被害の損失(従業員等のケガ・事故)>予定を変更した場合の会社の損失」
ということを訴求するということです。

 

ロジックとしては、「私が休みたい」のではなく(本当は休みたいのですが…)、「休ませないと会社に損失がでますよ」という趣旨の説得をする必要があります。

経営者は当たり前ですが、会社の損失を嫌がりますので、この説得方法が一番効果があります。私が過去に勤めた全ての会社で試した結果です。

労働組合があれば労働組合に、こうした意見を言ってもらいましょう。

 

サラリーマンである以上、経営者の意見を無視することは無理だと思います。会社を辞めないのであれば、経営者を説得することが必要です。その時に大切なのは、相手が何故そのような行動をとるのか相手の事情を考えることです。相手の事情を考えると、攻めるべき論点が見えてきます。

 

皆さん頑張って休みましょう。

職場の飲み会が苦手な人は、自分が思うよりもずっと多い

日本でサラリーマンとして企業に属していると必ず、「飲み会」が開催されます。頻度の差こそあれ、飲み会が全くないという職場は少ないのではないかと思います。

 

私は生まれつきのアルコールアレルギーのため、お酒が一切飲めません。お酒をおいしいと感じたこともありません。うっかりお酒を飲むと呼吸が苦しくなるため、医者に止められています。

 

正直お酒が飲める方がうらやましく、お酒を飲むという人生の楽しみがない分、少し損しているかなと思うこともあります。

 

 

私が新卒で入社した会社は、それはもう飲み会の多い職場で、月曜日から金曜日の平日5日間のうち、取引先との接待でもないのに毎週平均で2~3日飲み会があるという異常な職場でした。車通勤であれば運転を口実に断れたりもしますが、電車通勤の上、独身の新卒であったため、2~3日のうち1日くらいは断ることができても、なかなか全てを断る理由が見つかりません。

 

コース料理と飲み放題料金だけでも、新卒の給料ではかなりの負担です。お酒好きの上司とのお付き合い飲み会もあり、その場合は上司が払ってくれるとはいえ、毎回平均4千円程の出費がありました。回数が多いので、トータルでは結構な金額になります。

 

ただし、私が飲み会を断りたかった本当の理由は、上司が嫌いということでも、お酒が飲めないということでも、お金を使いたくなかったということでもありません。一番抵抗感を持っていたのは、時間を奪われるという感覚です。

 

実はちょうどその頃、仕事をしながら資格試験の勉強をしており、時間を確保することが必要でした。加えて大学時代からの趣味である水泳のために、会社帰りにジムに行きたかったということも理由の一つです。

 

でもその時は、そういった事情があることを周りに話してはいませんでした。

 

 

サラリーマンの方のご相談を聞くと、職場の飲み会にストレスを感じているという方が思うよりずっと多くいらっしゃいます。特に年齢の若い方に強い傾向です。

 

ただし、その理由を聞くと、上司や人間関係が嫌で参加しないという方は、実はあまり多くありません(もちろん一定数はいらっしゃいますが…)。若い方はむしろ職場の人間関係を大切にしたいと考えている方が多いです。お酒が嫌いだからという理由もどちらかというと少数派です。一番多いストレス要因は、自分の時間が奪われることへの抵抗感です。

 

 

最初に申し上げておきますが、この記事は、頻繁に飲み歩いていらっしゃる方を否定する記事でも、お酒を飲まず自分の時間を大切にする方を肯定する記事でもありません。

  

この記事で伝えたいのは、人にはそれぞれ事情があり、そしてその事情を相手に伝えることが、いかにストレスを軽減するかということです。

 

飲み会に参加したくないと思う方には何かしらの理由、事情があります。

そして、飲み会でお酒を飲みたいと考えている人にも事情があります。

 

飲み会に参加しないのは、趣味の時間が欲しいのかも、勉強のためかもしれません。たまたま気分が乗らないのかもしれません。

 

飲み会でお酒を飲みたいのは、1人だと入りづらい店に行きたいのかもしれません。愚痴を聞いてもらいたいのかもしれません。

 

忘れていけないのは、各々がその行動を取る理由に、必ずしも悪意があるとは限らないということです。

 

これをうっかり悪意としてとらえると、どうなるでしょうか。

 

「自分の誘いを断ったから、あの人はきっと自分のことが嫌いだ。」と思い込んでしまうかもしれません。

何度も行きたくない飲み会を誘われることにより、相手に対して漠然とした苦手意識を持ってしまうかもしれません。

 

本当はどちらにも悪意が存在していないのに、お互いの関係が悪くなることに繋がります。

 

誰も得をしていません。

ではどうすればよいのでしょうか。

 

明確です。自分の事情を伝えましょう。

 

我慢してストレスを抱える人は、意外と自分の事情を説明していません。事情を説明することによって、人間関係が悪化すると思い込んでいらっしゃる人もいます。ですが実際は、相手の事情が分からないが故に、人間関係が悪化したりギクシャクしたりすることの方が圧倒的に多いです。

 

はっきり言って「言わなければ分からない」のです。

 

あなたの事情はあなた特有のものです。他人が否定するものではないですし、話しても否定されません。そして、人は自分が思っている以上に、相手の事情を考慮してくれるものです。そして事情を考慮することで相手から信頼されやすくなります。

 

例えば、私は今でもお酒は一切飲めません。それが私の1つの事情です。

この事情を相手に伝えていなかったとしたらどうでしょうか。

 

相手がお酒好きの場合、お酒をメインとして飲み会のお店選びをするかもしれません。すると私は飲み会に参加するハードルが上がって、断る回数が多くなるかもしれません。相手は断られる理由が分からずに気分を害するかもしれません。結果自然と距離を置くようになるかもしれません。

 

結果、誰も得していません。

 

一方、私がお酒を飲めないことを相手に伝えておくとどうなるでしょうか。

 

相手は、お酒だけでなくツマミもおいしいお店を探してくれるかもしれません。景色がきれいな場所を探してくれるかもしれません。私は相手に信頼感を抱き、誘われたら必ずお受けするようになるかもしれません。誘う側も毎回断らずに受けてくれることで私を信頼してくれるかもしれません。

 

 お互いの関係が好転する材料がたくさん増えます。

 

飲み会で悩む方のうち本当に多くの方が、事情を説明するということを省略しがちです。

それは説明が難しいと思っていたり、理解してもらえないと思っていたりするのかもしれません。

 

しかし、世の中の人間は、自分が思っているよりずっと優しいです。そして、ちゃんと話せば理解しようとしてくれます。

 

もし万が一、事情を話したとして、それを知ったうえで無理強いしてきたり、邪魔してきたりするような方がいたとしたら、それこそが悪意のある人間です。

そもそもそのような悪意を持った人と良好な関係を築く必要があるのでしょうか。あなたが悩む必要があるのでしょうか。

 

悲しいことですが、世の中には人に危害を加えてくるような信頼してはいけない人間は確かに存在します。ですが、あなたがその方の存在に気を使って悩む必要は一切ありません。

 

人間は自分の事情を理解してもらっていると思えると、本当に信頼感が高まるものです。自分が無理をしないためにも、できるかぎり自分の事情は伝えておきましょう。

それだけで、人間関係のストレスは激減します。

そして、これは飲み会だけでなく、仕事やプライベート全てに繋がることでもあります。

私が「会社がつらい時こそ、会社を辞めなくてよい方法」を考える理由

楽しくて楽しくて毎日がたまらないと思えるような仕事をしている方は、日本にはどのくらいいるのでしょうか。

 

「今の仕事がつらい」

と考えたとき、全ての方に当てはまる訳ではありませんが、私がまず模索する解決策は、「会社を辞めなくてもよい改善方法」です。

 

それには理由があります。

 

仕事で苦しんでいる方に対して、「つらくて死んでしまうくらいなら、仕事なんて辞めてしまえばいい」とアドバイスされる方がいらっしゃいます。命を失うくらいだったら仕事なんて辞めるべきという考えは、私も同感です。

 

しかし、私の経験上、本当に追い詰められている方にはこの言葉は届いていません。辞めればいいのではなく、「つらいけれど辞められない」から苦しんでいるのです。

 

死にたくなる程とは言わないまでも、自己否定を繰り返してまで仕事に悩む方は、ほぼ間違いなく真面目な方が多いです。別の言い方をすると、これまで人生を積み上げてきた方です。

真面目な方ですから、その方がとびきり優秀であろうがなかろうが、ある年齢になればある程度の立場や収入を得ていることが多いです。

 

この、積み上げに積み上げた先に現在の自分があるということが「簡単に辞められない(捨てられない)要因」の一つです。

 

加えて外部環境にも要因があります。


私の転職活動時にも心の底から感じたことですが、日本は転職者に対しての風当たりが強い国です。転職を重ねることそのものが悪と判断されるといっても言い過ぎではありません。

事実、転職支援サイトに登録された求人情報には、「転職○回まで」という条件を出している会社が多数存在します。

するとどうなるかというと、本人に能力的な問題がなくても、「転職者=能力が低い」とレッテルが貼られ、転職によって収入が下がる方向に繋がりやすくなります。社会的なステータスが低下しやすくなります。

 

優秀なのに転職した人と、優秀ではないけれど辞めずにずっと働いていた人とでは、後者の方が高評価であるのが多くの日本企業です。新しく組織に加わった人間は評価が難しいということももちろん要因の一つでしょう。

 

もちろん全ての方に当てはまる訳ではありません。正しい転職をして給料が上がる方もいらっしゃいます。そもそも、そのような方はおそらくこの記事を読む必要はないでしょう。

 

実際、転職する度に待遇が下がっていくということはよく聞く話で、(私にも経験があるので恐縮ですが)漠然と「今の会社がつらいから、とりあえず他の会社に転職しよう」という計画性のない転職をした時に発生しやすいです。

 

収入が急に下がるとどうなるか。現在の生活水準は維持できなくなります。場合によっては、家を引っ越す必要があるかもしれません。

趣味をあきらめる必要があるかもしれません。

子供がいる場合、引っ越しすれば子供達は転校することになるかもしれません。子供の大学の学費が払えなくなるかもしれません。

子供は行きたい大学をあきらめてしまうかもしれません。

 

これまで積み上げてきたものの多くに多大な影響を与えることになります。

 

多くの方が「子どもの転校や引っ越しくらいなら、死ぬより良いじゃないか」と考えるでしょう。そう考える方の心は正常です

おそらく仕事で追い詰められている方のご家族もそう思っています。

 

しかし、心が正常でない方にとって、人生をかけて積み上げたものが崩れるということは、これまでの人生を全否定されたのと同じような感覚です。

これまで人生をかけて積み上げたものをなくすことは、人生の全否定と同じ感覚。ひいては社会的に死んだような気になる訳です。

 

もちろん生活水準を下げることが、人生の全否定ではありません。

 

でも本当に追い詰められている方の多くはそう思っています。このまま仕事を続けていても「死にたい」と思い、仕事を辞めたとしても「社会的な死」が待っていると考えていたとしたらどうでしょうか。

どちらにも救いがなく、逃げ場がないのです。

 

良い転職をするのであれば、心が正常である必要があります。まずは仕事を辞めずに労働環境を好転させて、心を正常に戻すことはとても重要だと思います。いっぱいいっぱいになってしまった状態で、冷静な転職判断はできません。

 

もちろん、人によってはすぐに仕事を辞めて転職することが最善である方もいらっしゃいます。私も、すぐに仕事を辞めるという手段を否定するつもりはありません。

 

同様に、仕事を辞めずに心を正常に戻すというのも一つの手段です。どちらも目的ではなく、手段です。最終目的は今のつらい環境を打破することなので、どんな手段をとっても良いはずです。しかし、多くの方は、仕事を辞めるという手段しか無いと思い込んでいます。

 

仕事を続けながら、ストレスを減らす方法はいくらでもあります。精神的なハードルは会社を辞めてしまうことに比べたら容易なものです。どうしても転職したいのであれば、心が正常に戻り、周りが見えてくるようになってから、正しい転職先についてもう一度考えればよいです。

 

もし、周りで仕事に悩んでいる方が、仕事を辞めるしか手段がないと思っているのであれば、そうではないということを伝えてあげてください。

営業未経験者が、転職先に営業職を選ぶことはアリか

転職活動を始めた多くの方が、転職支援サイトというものに登録されると思います。
この転職支援サイトでは、多くの求人情報を見ることができます。

 

どんな場所でどんな仕事を探している方であっても、給与を全く気にしないという方はあまりいないと思います。2018年9月現在、未経験者応募可能という求人情報を調査してみると、他の職種に比べてずば抜けて高い給与条件が記載されている職種があります。

それは営業職です。

 

未経験でも転職直後に高い給与が手に入るというのは、それだけで魅力的です。現在の給与に不満があり、高い給与を求めている方は常に一定数いらっしゃるので、応募される方も多いと思います。

 

とは言え、私のようにひねくれた人間にとっては、逆に構えてしまいます。うまい話には裏があるのではないかと。


転職のミスマッチをなくすためにも調査が必要だと思い、転職活動の時にもたくさん調べたのを覚えています。

 

ちなみに、私が新卒で入った会社で、まず行ったのが営業の仕事でした。とは言え新卒で何もわかっていない状態でしたので、責任の重い立場であったわけでもなく、先輩について行っただけですので、営業で苦しむ程仕事したという記憶もありません。上司の方はとても大変そうだったことは覚えています。


その後の人事異動で営業職からは離れ、自分の希望の部署になり、それ以来営業という仕事をしたことはありません。今回の記事を書くにあたり、改めて多くの現役営業職経験者のお話を聞き、参考にさせていただきました。

 

営業職のメリット・デメリットをまとめた記事を見かけますが、それがメリットなのかデメリットなのかは人によって異なります。「これがメリットです!」と言い切っている記事は、物事を一方向からしか見ていません。Aさんにとってはメリット、でもBさんにとってはデメリットであることはよくあります。

 

また、そのメリット・デメリットと指摘している特徴が、他の業種にも当てはまる場合があります。特徴が他の業種にも当てはまるとしたら、それは営業職特有のメリット・デメリットではありません。他の職種との比較材料としてはおかしいです。

 

例えば、営業職は大量採用されるが故に、その裏に大量離職があるということは多くの方が知っていると思います。多くの方がこの大量離職をデメリットと感じるかもしれません。

 

しかし、デメリットと断定するにはまず、その理由を調べなければなりません。この場合、大量離職の理由を調べることになります。理由を調査した結果、大量離職の理由が自分には当てはまらないものであるならば、それは自分にとってデメリットではありません。むしろ他の求職者が敬遠してくれるだけメリットを感じることになるかもしれません。

 

この記事を読んでいる方がどのような方なのか、私には分かりません。ですからこの記事では、営業職を批判したりしません。またお勧めすることもありません。フラットな立場で営業職の特徴をお伝えし、就職・転職活動の参考にしていただきたいと思います。

 

<営業職の特徴>
・どの会社にも必ず必須な職種である(一部公務員等を除く)

企業がお客様に対して商品・サービスを提供している以上、営業の仕事がない企業はありません。商品・サービスは営業活動によりお客様に知ってもらって、初めて購買の可能性があります。


ちなみに、公務員では民間企業でいうところの営業職というものはありません。但し営業職に似たようなものはあります。例えば商工政策の分野で、自治体の観光サービスや特産物を外部にアピールするという仕事はありますが、自治体本体が直接販売・提供するわけではないため、ノルマは存在しません。あくまで民間企業の支援をするという立場です。

 

・求人数が他職種に比べてとても多い

営業職はどの会社にも必要なのですから、必然的に求人数も多いです。あらゆる職種の中でその数はNo.1です。

 

・就職・転職が比較的容易である

求人が多いうえ、一度に大量採用することが多い傾向にある営業職は、就職・転職に際しての他の求職者との競争が他職種と比べて少ないです。就職・転職活動が成功しやすい職種であるとも言えます。

 

・つぶしがきく職種である

どの会社にも営業職があるため、一度営業職スキルを身に付けると、他社でも営業職として活躍できる余地があります。転職支援サイトに提示されている営業職求人では、ほぼ間違いなく「営業経験者優遇」というタグが付いていましたので、転職する場合にも前職の経験が無駄になるということが起こりにくいです。


また、営業活動を行うには資料の作成、プレゼン能力等、およそ他の事務職でも必要とされるスキルが必要です。これらのスキルを使って他業種でも活躍できる余地があります。

 

・給与額や昇進が、結果に大きく左右される

営業職は結果が全てという言葉は皆さんご存知のとおりだと思いますが、結果を出し続けることができれば、他業種とは比べ物にならないほど昇給・昇格が早いです。


加えて、結果が全てであるが故、極端な話、仕事中にサボって喫茶店に入っていようが、昼寝していようが、営業数字を上げてさえいれば、あまり文句を言われることはありません。


逆に、どんなに寝ずに頑張ったとしても結果がでなければ、一切評価されない職種でもあります。「商品は売れなかったけど、頑張っていたから評価する」という考えはないと思った方がよいです。もしそんなことをしていたら、頑張って成果を出した優秀な営業職員は他社へ転職することになるでしょう。


<営業職に求められるもの>
・コミュニケーション能力が必要

営業とは、顧客に商品・サービスを売る仕事ですので、避けて通れないのがコミュニケーションです。訪問営業の場合、クライアントを訪ねて、商品の魅力を伝えていかなければなりません。人付き合いは他の職種以上に多いといえるでしょう。


新規採用職員の方が営業職への志望動機について、「自分は人と接することが好きだから」という理由を上げる方がいます。おそらくよほど意地悪な面接官でなければつっこんでくることはないと思いますが、大学生までの人付き合いと、ビジネスとしての人付き合いは別のものだと考えた方がいいでしょう。

 

大学生までの人付き合いは、おそらく自分と共通点のある人間(大学、サークル、バイト等の範囲内の友人)との付き合いがメインとなるでしょう。基本的には利害関係の生じない付き合いです。嫌いな人がいれば関わらなければよく、気の合う仲間とだけ関係を持つことが可能です。

 

一方ビジネスの付き合いは、それとは全く違います。自分の提案した商品・サービスを買うかどうかというやりとりの中に、損得勘定があります。利害関係が対立する相手に営業をかけることもあり、平気で厳しい言葉をかけられることもあります。そして、それでもまたその方のもとに営業に行かざるを得ない状況も発生します。

 

営業のコミュニケーションで大切なのはどちらかというと、相手の心を自分の方に向かせるスキルだと思います。

 

・勤務時間外の対応が必ず発生する

クライアントから問い合わせがあるのは、自分の勤務時間内とは限りません。自分の休みの日でもクライアントが仕事をしていることはよくありますので、携帯電話に電話がかかってくることは覚悟しなければなりません。


また、接待という名の宴会の席にもたくさん参加することになります。接待にかかった費用は経費として計上することができるかもしれませんが、自分の時間は奪われます。

 

・事務処理能力が必要である

営業職だからと言って、クライアント先を飛び回ってばかりではありません。クライアントに説明するための書類やデータのとりまとめは必須の作業です。プレゼン資料の作成能力も必要となります。

 

・営業ノルマを達成する必要がある

私がお話を聞いた限りでは、営業ノルマがない営業職の方はいらっしゃいませんでした。仮にノルマが設定されていなかったとしても、営業数字は自分の給料に跳ね返ってくることを考えると、自分の中で決めたノルマを達成する必要はあるでしょう。


このノルマという考えは、今や営業職だけのものではありませんが、営業職ではそれが非常に顕著で明確です。

 

「ノルマが達成できていない時には、上司に話しかけられるたびにビクビクする。」とおっしゃっている方もいました。

 

・自爆営業というシステムが存在する

自爆営業とは、売上を上げるため、販売員自らが商品を購入することです。

コンビニ店員がノルマのために自爆営業というニュースを聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

これは前述の「ノルマ」があるが故に発生する悲劇です。法人向け商品の営業の場合、これは当てはまらないかもしれませんが、個人向けに販売する商品の営業の場合、最悪自爆営業が発生するおそれがあります。


これまでの話を整理してみましょう。

 

<営業職の特徴>
・どの会社にも必ず必須な職種である(一部公務員等を除く)
・求人数が他職種に比べてとても多い
・就職・転職が比較的容易である
・つぶしがきく職種である
・給与額や昇進が、結果に大きく左右される

<営業職に求められるもの>
・コミュニケーション能力が必要
・勤務時間外の対応が必ず発生する
・事務処理能力が必要である
・営業ノルマを達成する必要がある
・自爆営業というシステムが存在する

 

この中で、営業職特有のものを抜き出してみます。他の業種でもある程度あてはまるものは、営業職特有の課題としてとらえることが難しくなるため除いています。

 

・どの会社にも必ず必須な職種である(一部公務員等を除く)
・求人数が他職種に比べてとても多い
・就職・転職が比較的容易である
・給与額や昇進が、結果に大きく左右される
・営業ノルマを達成する必要がある
・自爆営業というシステムが存在する

 

さらにこの中から、営業職員の待遇に直結する項目を抜き出します。

 

1給与額や昇進が、結果に大きく左右される
2営業ノルマを達成する必要がある
3自爆営業というシステムが存在する

 

ここで話を一番初めに戻します。

 

現在転職支援サイトに掲載されている営業求人は、他の職種に比べてずば抜けて高い給与条件が記載されているものがあります。

 

それは求人詳細には書いてありませんが、上記1、2(3は特殊なので除きます)でコンスタントに結果を出した場合、「最大で」その収入が手に入るということを意味しています。つまり、「全ては売れることが前提」ということです。

 

では次に何を考えるべきでしょうか。

 

求人を出している企業が、何を売っているかを見るべきです。次に考えるのは、その商品・サービスが自分に売れるものなのかどうか。

もっと言うと、世の中にその商品・サービスは求められているのかどうかを考えるべきです。今売れているからと言って、今後も売れるのかは別です。今売れているのであれば、自分が入社するころにはみんなそれを持っていて、自分が営業をかける場所はもう残っていないかもしれません。

 

営業職を選ぶということは、売る商品を選ぶということです。家具のメーカーに入ったら家具を売らなければなりません。食品を売ることはできないのです。

 

このような観点から、自分が今気になっている営業職への転職がうまく行くかどうか、事前にイメージすることが大切です。


転職はとても大変な作業です。

 

精神的にも体力的にも負担になり、人生で何度も経験することではありませんので、後悔しないように、面倒がらずに慎重に転職先を見極めてください。

皆様の転職が素晴らしいものになるよう、心から願っております。

転職活動してみて分かったこと

私は過去に転職活動を経験しています。

転職活動をやってみて良く分かったことは、

 

「日本は、転職者に対してとても風当たりが強い」ということ。

「年齢を重ねれば重ねるほどその傾向は強い」ということ。そして、

「自分の希望どおりの企業は驚くほど少ない」ということでした。

 

初めの就職、そして転職活動時に私が求めていた希望条件は、以下のとおりです。

  • 正社員であること
  • 副業なしに生活が成り立つ給料であること
  • 有給は消化できること
  • 原則定時退社であること
  • 残業した場合は必ず残業手当がもらえること
  • 休日の呼び出し・電話なしであること

 

就職氷河期の新卒時代から条件をたくさん付けていたのですから、我ながら困ったものです。当時も「そんな贅沢な職場はないよ」と同級生に言われていました。実際に就職した企業も、この条件には全く当てはまりません。

 

でもちょっと待ってください。この条件、そんなに贅沢な条件でしょうか?

私としては、とても基本的でとても重要なことだと思うのですが。

 

「正社員」
→安定した雇用を確保したいと思うのは当たり前のことです。

 

「副業なしで生活が成り立つ給料」
→逆に生活が成り立たない給料とは、どの面下げて人を雇おうとしているのでしょうか?

 

「有給は消化できる」
→有給は法律に基づく労働者の基本的な権利です。組織の中である人だけ有給が消化できないのであれば、属人的な問題かもしれませんが、組織全員が消化できないのであれば、明らかに組織の問題です。

 

「原則定時退社」
→慢性的な残業が発生しているのであれば、人手不足です。経営者が無能であると自分で言っているようなものです。偉い方の報酬を減らしてでも人を追加で雇ってください。有給消化にも影響する問題です。

 

「残業した場合は必ず残業手当」
→残業代を出さない会社とは、お金を払わなくても人に働いてもらえると本気で思っているのでしょうか?理解不能です。

 

「休日の呼び出し・電話なし」
→もしも休日の呼び出しや電話が無条件にあったなら、もはやそれは休みではありません。別の日に改めて休みを与えてください。

 

現在世の中は売り手市場にあるとはいえ、就職活動の厳しさは求職者の年齢によって大きく変わります。昔から日本では新卒信仰が蔓延しているので、大学新卒であれば、何のスキルがなくても比較的容易に(もちろん競争はありますが)大手企業に入ることが可能です。

 

また20代後半の転職であっても、「20代はまだ若い」という理由で、スキルや経験が少なくとも転職が可能です。

 

ただし、これが30代後半にもなるとガラッと環境が変わります。経験やスキルがかなり重要視され、一気に就職先の選択肢が狭まります。風当たりも強くなります。私自身の経験からも明らかにそうです。30代の転職活動は最も精神をすり減らす経験でした。

 

しかし、それはあたりまえと言えばあたりまえかもしれません。
年齢が高ければ高いほど人を育てる時間が少ない訳ですから、企業側として高い経験やスキルを求めることは十分理解できます。

 

ただ、転職活動しながら感じていたことは、高い経験や高いスキルを求めておきながら、劣悪な待遇を涼しい顔で提示している会社のいかに多いことか。

企業側にとって都合の良い求人が世の中には溢れています。

 

今思えば何も役に立っていませんが、私自身、子供のころから割としっかり勉強するタイプでした。

また、30代後半に至るまで、多少無職の期間もあったものの、ほぼ切れ間なく社会人経験を積んできており、それなりにスキルも磨いてきました。合格難易度が高く、ステータスとして一般に認められるような有名な国家資格も保有しております。

 

30代後半の転職活動でも、転職サイトにその資格を登録すると、オファーメール(実際は自動送信メールですが)がたくさん来ました。転職エージェントさんからいただいた「好待遇案件です」と書かれたメールを開いてみると

 

『○○○資格をお持ちの方を募集・優遇(働きやすい環境!)』
と大きく書かれたその下にあった求人詳細には、家族持ちとしてはギリギリの生活しかできないと思えるような給与待遇が堂々と掲載されていました。

そして見込残業代○○時間の文字。さらに見ると有給休暇はギリギリ半分くらい消化できるようです。

 

これが今の日本でいうところの好待遇なのですか?


見込残業代という危険なシステムは、いつから自然に使われるようになったのですか?


少なくとも私の新卒時代にはありませんでしたが…。

 

大丈夫か?(一応)先進国、日本。

 

日本のサラリーマンは、有給休暇を取得できないことに耐性がありすぎるので、「半分も消化できればいいじゃないか。」と思う方がいるかもしれませんが、目を覚ましてください。

 

仮に毎年10日間取得できないということは、1年のうち毎年10日間はタダ働きをさせられていることになるのです。

 

毎年10日間タダ働きさせておいて好待遇?

もしもその方が40年近く勤務すると、タダ働き期間は通算で丸々1年にもなりますが…。
いやいや、ちょっとブラックジョークにしてもキツイです。

 

フォローしておきますが、世の中には本当に待遇の良い会社は確かに存在します。確かに存在しますが、その会社に巡り合える確率、ましてや新卒でいきなりそれを引き当てる確率は、宝くじを当てるごとく難しいです。


お世辞にも、良い労働市場であるとは言えません。