台風の時に、どうすれば仕事を休めるのか考えてみる

2018年9月4日台風21号の影響で、私が住んでいる岐阜県岐阜市はとんでもない強風が吹き荒れていました。台風が上陸した場所に比べれば、まだマシだったのかもしれませんが、あちこちで倒木がありましたし、大規模な停電も発生しました。

 

そして我が家もしっかり停電しました。懐中電灯の灯りでなんとかやり過ごしたものの、とても不便な一夜を過ごしました。

 

この記事を読んでいる方の中にも、台風の影響を受けた方がいらっしゃるかもしれません。皆様に被害がなかったことを心よりお祈りいたします。

 

さて、今回のように台風が来る度、出社すべきかそうでないかの議論が起こりますが、労働者の意見の多くがそうであるように、私も原則出社すべきではないと思います。

 

とはいえ、現実的にはそうはいかないのが今の日本企業です。私が過去に勤めていたどの職場も同じでした。「台風=危険=休み」という発想がそもそもないのです。

私は台風が来るたびに、どうやったら自然に休めるのかをいつも考えていました。

 「台風休み」という分野の専門研究員と名乗っても良いかもしれません。


誰しも台風の時まで出勤したくはありませんが、実際は、台風の中でもやるべき仕事はあります。都道府県・市町村・警察・消防をはじめとした公的機関や電気・ガス等のインフラ、ケガをした方を搬送する先である病院は、被害発生時であっても必ず必要とされる仕事であると言えます。これらの仕事は台風被害の軽減、防御、復旧を担っているからです。台風から世の中を守るための仕事があります。

 

今回の台風被害でも何台ものパトカーを見かけましたし、停電した信号機のある場所では、警察官が手信号で対応されていました。大変な業務、本当にお疲れ様です。

 

一方台風当日にすべきでない仕事とは何でしょうか。実際は、台風から世の中を守ることが本業でない限り、台風直撃の日に絶対すべき仕事など、ほとんどありません。大事な打合せや会議、お客様の対応があったとしても、日にちを改めるべきです。

 

日本のサラリーマンはとても真面目です。台風だからといって会社を休むなどもってのほか、重要な会議に出席できないことが、この世の終わりのような感覚を持っている人もいます。そのような方は何がなんでも会社までたどり着こうとします。

 

私にはそうは思いません。台風に恐怖を感じて休みたいと思うことは、人間として自然な反応だと思います。

 

そして、台風の日に重要な会議ができなくても、この世は終わりません。

 

別の日に改めて予定が組まれるだけです。人生が大きく狂うこともありません。

 

その代わり予定変更のための調整は必要です。関係者に説明をする必要があります。でもそれは決して難しいことではありません。

 

そもそも関係者も台風の存在を知っていますし、台風の影響がいつ頃になるのかは、今やスマホ一つで簡単に調べられます。台風情報はかなり前から分かりますので、時間が全くない訳でもありません。


そして、「台風で危険が伴うため、○○を延期させてください。」というお願いが、全く理解できないと思う社会人もいないでしょう。多くの方は、「そうですね。延期しましょう。」と思うはずです。

 

ではなぜ、実際にはそれがやめられないのでしょうか。

 

台風の日でも仕事を優先するということは、言いかえると、経営者が台風による被害(関係者や従業員のケガ・事故)よりも、その日仕事をしなかった場合のデメリットの方が大きいと考えていると言うことです。

つまり、

「台風被害の損失(従業員等のケガ・事故)<予定を変更した場合の仕事上のデメリット」

という考えをもっているということです。


仕事上のデメリットとは、会社の損失と言いかえることができますので、

「台風被害の損失(従業員等のケガ・事故)<予定を変更した場合の会社の損失」

となります。

 

世の中には、私が経験したことがない仕事が星の数ほどありますので、ひょっとしたらこの式が成立する仕事も中にはあるかもしれません。

 

しかし実際には、たかだか予定を変更した時のデメリットが、従業員等のケガ・事故のデメリットを上回ることがあるのでしょうか。


少なくとも私の周辺には、そのような仕事はありません。

 

従業員や関係者に危険を与える行為とは、従業員や関係者を軽視する行為です。
従業員や関係者がケガをしたら、あっという間にネット情報が拡散する時代です。経営者としてもリスクが高すぎます。

 

従業員が出勤できないほどの異常気象の中、24時間営業を無理やり命じた某コンビニの本社は、どれほどの批判を世間から浴びていたでしょうか。企業にブランド力や体力がなければ潰れているレベルです。


台風でも従業員を休ませない経営者は、このリスクの重要さに気づいていません。


逆に言うと、台風で仕事を休みたいと思えば、まずこの点を訴求できるような訴えをする必要があります。

 

つまり、
「台風被害の損失(従業員等のケガ・事故)<予定を変更した場合の会社の損失」
ではなく、
「台風被害の損失(従業員等のケガ・事故)>予定を変更した場合の会社の損失」
ということを訴求するということです。

 

ロジックとしては、「私が休みたい」のではなく(本当は休みたいのですが…)、「休ませないと会社に損失がでますよ」という趣旨の説得をする必要があります。

経営者は当たり前ですが、会社の損失を嫌がりますので、この説得方法が一番効果があります。私が過去に勤めた全ての会社で試した結果です。

労働組合があれば労働組合に、こうした意見を言ってもらいましょう。

 

サラリーマンである以上、経営者の意見を無視することは無理だと思います。会社を辞めないのであれば、経営者を説得することが必要です。その時に大切なのは、相手が何故そのような行動をとるのか相手の事情を考えることです。相手の事情を考えると、攻めるべき論点が見えてきます。

 

皆さん頑張って休みましょう。