転職活動してみて分かったこと

私は過去に転職活動を経験しています。

転職活動をやってみて良く分かったことは、

 

「日本は、転職者に対してとても風当たりが強い」ということ。

「年齢を重ねれば重ねるほどその傾向は強い」ということ。そして、

「自分の希望どおりの企業は驚くほど少ない」ということでした。

 

初めの就職、そして転職活動時に私が求めていた希望条件は、以下のとおりです。

  • 正社員であること
  • 副業なしに生活が成り立つ給料であること
  • 有給は消化できること
  • 原則定時退社であること
  • 残業した場合は必ず残業手当がもらえること
  • 休日の呼び出し・電話なしであること

 

就職氷河期の新卒時代から条件をたくさん付けていたのですから、我ながら困ったものです。当時も「そんな贅沢な職場はないよ」と同級生に言われていました。実際に就職した企業も、この条件には全く当てはまりません。

 

でもちょっと待ってください。この条件、そんなに贅沢な条件でしょうか?

私としては、とても基本的でとても重要なことだと思うのですが。

 

「正社員」
→安定した雇用を確保したいと思うのは当たり前のことです。

 

「副業なしで生活が成り立つ給料」
→逆に生活が成り立たない給料とは、どの面下げて人を雇おうとしているのでしょうか?

 

「有給は消化できる」
→有給は法律に基づく労働者の基本的な権利です。組織の中である人だけ有給が消化できないのであれば、属人的な問題かもしれませんが、組織全員が消化できないのであれば、明らかに組織の問題です。

 

「原則定時退社」
→慢性的な残業が発生しているのであれば、人手不足です。経営者が無能であると自分で言っているようなものです。偉い方の報酬を減らしてでも人を追加で雇ってください。有給消化にも影響する問題です。

 

「残業した場合は必ず残業手当」
→残業代を出さない会社とは、お金を払わなくても人に働いてもらえると本気で思っているのでしょうか?理解不能です。

 

「休日の呼び出し・電話なし」
→もしも休日の呼び出しや電話が無条件にあったなら、もはやそれは休みではありません。別の日に改めて休みを与えてください。

 

現在世の中は売り手市場にあるとはいえ、就職活動の厳しさは求職者の年齢によって大きく変わります。昔から日本では新卒信仰が蔓延しているので、大学新卒であれば、何のスキルがなくても比較的容易に(もちろん競争はありますが)大手企業に入ることが可能です。

 

また20代後半の転職であっても、「20代はまだ若い」という理由で、スキルや経験が少なくとも転職が可能です。

 

ただし、これが30代後半にもなるとガラッと環境が変わります。経験やスキルがかなり重要視され、一気に就職先の選択肢が狭まります。風当たりも強くなります。私自身の経験からも明らかにそうです。30代の転職活動は最も精神をすり減らす経験でした。

 

しかし、それはあたりまえと言えばあたりまえかもしれません。
年齢が高ければ高いほど人を育てる時間が少ない訳ですから、企業側として高い経験やスキルを求めることは十分理解できます。

 

ただ、転職活動しながら感じていたことは、高い経験や高いスキルを求めておきながら、劣悪な待遇を涼しい顔で提示している会社のいかに多いことか。

企業側にとって都合の良い求人が世の中には溢れています。

 

今思えば何も役に立っていませんが、私自身、子供のころから割としっかり勉強するタイプでした。

また、30代後半に至るまで、多少無職の期間もあったものの、ほぼ切れ間なく社会人経験を積んできており、それなりにスキルも磨いてきました。合格難易度が高く、ステータスとして一般に認められるような有名な国家資格も保有しております。

 

30代後半の転職活動でも、転職サイトにその資格を登録すると、オファーメール(実際は自動送信メールですが)がたくさん来ました。転職エージェントさんからいただいた「好待遇案件です」と書かれたメールを開いてみると

 

『○○○資格をお持ちの方を募集・優遇(働きやすい環境!)』
と大きく書かれたその下にあった求人詳細には、家族持ちとしてはギリギリの生活しかできないと思えるような給与待遇が堂々と掲載されていました。

そして見込残業代○○時間の文字。さらに見ると有給休暇はギリギリ半分くらい消化できるようです。

 

これが今の日本でいうところの好待遇なのですか?


見込残業代という危険なシステムは、いつから自然に使われるようになったのですか?


少なくとも私の新卒時代にはありませんでしたが…。

 

大丈夫か?(一応)先進国、日本。

 

日本のサラリーマンは、有給休暇を取得できないことに耐性がありすぎるので、「半分も消化できればいいじゃないか。」と思う方がいるかもしれませんが、目を覚ましてください。

 

仮に毎年10日間取得できないということは、1年のうち毎年10日間はタダ働きをさせられていることになるのです。

 

毎年10日間タダ働きさせておいて好待遇?

もしもその方が40年近く勤務すると、タダ働き期間は通算で丸々1年にもなりますが…。
いやいや、ちょっとブラックジョークにしてもキツイです。

 

フォローしておきますが、世の中には本当に待遇の良い会社は確かに存在します。確かに存在しますが、その会社に巡り合える確率、ましてや新卒でいきなりそれを引き当てる確率は、宝くじを当てるごとく難しいです。


お世辞にも、良い労働市場であるとは言えません。