職場の飲み会が苦手な人は、自分が思うよりもずっと多い

日本でサラリーマンとして企業に属していると必ず、「飲み会」が開催されます。頻度の差こそあれ、飲み会が全くないという職場は少ないのではないかと思います。

 

私は生まれつきのアルコールアレルギーのため、お酒が一切飲めません。お酒をおいしいと感じたこともありません。うっかりお酒を飲むと呼吸が苦しくなるため、医者に止められています。

 

正直お酒が飲める方がうらやましく、お酒を飲むという人生の楽しみがない分、少し損しているかなと思うこともあります。

 

 

私が新卒で入社した会社は、それはもう飲み会の多い職場で、月曜日から金曜日の平日5日間のうち、取引先との接待でもないのに毎週平均で2~3日飲み会があるという異常な職場でした。車通勤であれば運転を口実に断れたりもしますが、電車通勤の上、独身の新卒であったため、2~3日のうち1日くらいは断ることができても、なかなか全てを断る理由が見つかりません。

 

コース料理と飲み放題料金だけでも、新卒の給料ではかなりの負担です。お酒好きの上司とのお付き合い飲み会もあり、その場合は上司が払ってくれるとはいえ、毎回平均4千円程の出費がありました。回数が多いので、トータルでは結構な金額になります。

 

ただし、私が飲み会を断りたかった本当の理由は、上司が嫌いということでも、お酒が飲めないということでも、お金を使いたくなかったということでもありません。一番抵抗感を持っていたのは、時間を奪われるという感覚です。

 

実はちょうどその頃、仕事をしながら資格試験の勉強をしており、時間を確保することが必要でした。加えて大学時代からの趣味である水泳のために、会社帰りにジムに行きたかったということも理由の一つです。

 

でもその時は、そういった事情があることを周りに話してはいませんでした。

 

 

サラリーマンの方のご相談を聞くと、職場の飲み会にストレスを感じているという方が思うよりずっと多くいらっしゃいます。特に年齢の若い方に強い傾向です。

 

ただし、その理由を聞くと、上司や人間関係が嫌で参加しないという方は、実はあまり多くありません(もちろん一定数はいらっしゃいますが…)。若い方はむしろ職場の人間関係を大切にしたいと考えている方が多いです。お酒が嫌いだからという理由もどちらかというと少数派です。一番多いストレス要因は、自分の時間が奪われることへの抵抗感です。

 

 

最初に申し上げておきますが、この記事は、頻繁に飲み歩いていらっしゃる方を否定する記事でも、お酒を飲まず自分の時間を大切にする方を肯定する記事でもありません。

  

この記事で伝えたいのは、人にはそれぞれ事情があり、そしてその事情を相手に伝えることが、いかにストレスを軽減するかということです。

 

飲み会に参加したくないと思う方には何かしらの理由、事情があります。

そして、飲み会でお酒を飲みたいと考えている人にも事情があります。

 

飲み会に参加しないのは、趣味の時間が欲しいのかも、勉強のためかもしれません。たまたま気分が乗らないのかもしれません。

 

飲み会でお酒を飲みたいのは、1人だと入りづらい店に行きたいのかもしれません。愚痴を聞いてもらいたいのかもしれません。

 

忘れていけないのは、各々がその行動を取る理由に、必ずしも悪意があるとは限らないということです。

 

これをうっかり悪意としてとらえると、どうなるでしょうか。

 

「自分の誘いを断ったから、あの人はきっと自分のことが嫌いだ。」と思い込んでしまうかもしれません。

何度も行きたくない飲み会を誘われることにより、相手に対して漠然とした苦手意識を持ってしまうかもしれません。

 

本当はどちらにも悪意が存在していないのに、お互いの関係が悪くなることに繋がります。

 

誰も得をしていません。

ではどうすればよいのでしょうか。

 

明確です。自分の事情を伝えましょう。

 

我慢してストレスを抱える人は、意外と自分の事情を説明していません。事情を説明することによって、人間関係が悪化すると思い込んでいらっしゃる人もいます。ですが実際は、相手の事情が分からないが故に、人間関係が悪化したりギクシャクしたりすることの方が圧倒的に多いです。

 

はっきり言って「言わなければ分からない」のです。

 

あなたの事情はあなた特有のものです。他人が否定するものではないですし、話しても否定されません。そして、人は自分が思っている以上に、相手の事情を考慮してくれるものです。そして事情を考慮することで相手から信頼されやすくなります。

 

例えば、私は今でもお酒は一切飲めません。それが私の1つの事情です。

この事情を相手に伝えていなかったとしたらどうでしょうか。

 

相手がお酒好きの場合、お酒をメインとして飲み会のお店選びをするかもしれません。すると私は飲み会に参加するハードルが上がって、断る回数が多くなるかもしれません。相手は断られる理由が分からずに気分を害するかもしれません。結果自然と距離を置くようになるかもしれません。

 

結果、誰も得していません。

 

一方、私がお酒を飲めないことを相手に伝えておくとどうなるでしょうか。

 

相手は、お酒だけでなくツマミもおいしいお店を探してくれるかもしれません。景色がきれいな場所を探してくれるかもしれません。私は相手に信頼感を抱き、誘われたら必ずお受けするようになるかもしれません。誘う側も毎回断らずに受けてくれることで私を信頼してくれるかもしれません。

 

 お互いの関係が好転する材料がたくさん増えます。

 

飲み会で悩む方のうち本当に多くの方が、事情を説明するということを省略しがちです。

それは説明が難しいと思っていたり、理解してもらえないと思っていたりするのかもしれません。

 

しかし、世の中の人間は、自分が思っているよりずっと優しいです。そして、ちゃんと話せば理解しようとしてくれます。

 

もし万が一、事情を話したとして、それを知ったうえで無理強いしてきたり、邪魔してきたりするような方がいたとしたら、それこそが悪意のある人間です。

そもそもそのような悪意を持った人と良好な関係を築く必要があるのでしょうか。あなたが悩む必要があるのでしょうか。

 

悲しいことですが、世の中には人に危害を加えてくるような信頼してはいけない人間は確かに存在します。ですが、あなたがその方の存在に気を使って悩む必要は一切ありません。

 

人間は自分の事情を理解してもらっていると思えると、本当に信頼感が高まるものです。自分が無理をしないためにも、できるかぎり自分の事情は伝えておきましょう。

それだけで、人間関係のストレスは激減します。

そして、これは飲み会だけでなく、仕事やプライベート全てに繋がることでもあります。