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政治家によって「うつ」になる公務員

公務員を経験したことがなく、仕事で関わり合いの少ない方にとって、公務員の仕事とは、どのようなイメージでしょうか。

いまだに「公務員はみんな定時で帰ることができる」と思っている方が、このご時世にどのくらいいらっしゃるのか分かりませんが、営業ノルマがなく、安定した職業で、民間企業のようにガツガツ仕事する必要がない気楽な職業だと思っている方は、少なからずいらっしゃると思います。

 

私は仕事上、岐阜県内の公務員の皆様に接する機会が多いです。営業ノルマがなく、安定した職業であるということには同意しますが、少なくとも気楽な職業だとは思いません。

配属される部署によっては、精神的にかなり負担のかかる職業だと思います。実際、公務員でうつ病にかかり休職される方はたくさんいらっしゃいます。

 

どのような点が精神的な負担になりうるのでしょうか。

 

例えば地方公務員の場合、そのトップは市区町村であれば市区町村長であり、都道府県であれば都道府県知事です。トップが政治家であるが故に、必ず発生するのが選挙による影響です。

 

政治家は、選挙で落選すればただの人です。

 

故に、選挙前にもなると、選挙区内権力者による無茶な要望や、マイノリティな苦情、重箱の隅をつつくような指摘など、全力で拾い始めます。

票を少しでも獲得するためです。

当たり前ですが、対応するのはその部下である公務員です。

 

寄せられる要望の中には、当然対応できないこともあります。その場合は、できないことが「要望を受けた政治家のせいではない」という理由を考えさせられます。すぐに理由が見つからなければ、(胡散臭い)統計データを利用して無理やり理由付けしたり、他の自治体の事例(他の自治体でもできなかった事例)を調査したりすることになります。

正直、あまり国民の利益になるような仕事ではありませんが、この作業により多くの公務員が時間を奪われることになります。

 

一方、対応できることについては、それがどんなにマイノリティな要望であり、どんなに非効率な作業であっても、トップが指示する限りは、やらなければなりません。

 

いずれにしても、これらの対応を、通常業務のかたわらに行う必要があります。そして対応すべき案件は、数十件などのレベルではありません。

 

また、政治家の先生の思い付きのようなレベルで突発的に発生するため、これらの要望対応により事務量が10倍になろうが、20倍になろうが、そのために人を臨時に雇うことはできません。霞が関において、国家公務員が議会対応で毎日徹夜になることは必然であると言えます。

 

もちろん、政治家からの要求が全て無駄だと言い切るつもりはありません。

ただし、そのうちの何割かが票集めのためであるということは事実です。マイノリティな要望を全て拾うということは、数万人に1人程度の人間しか希望しないことでも、多額の税金を投入して対応するということです。それは税金を払っているその他大勢の人には必要とされていません。

 

「多くの人に必要ないと分かっている仕事のために、連日徹夜をする」

 

この精神的なダメージは、計り知れないものがあります。

世の中を良くしたいという思いが強い人であればあるほど、このダメージは大きくなります。悲しいことに、志が高ければ高いほど、うつ病になります。

 

先日発生した西日本豪雨や、北海道の地震で被害のあった自治体では、おそらく多くの職員がその災害対応にあたっていらっしゃると思います。


災害対応に毎日あたっていらっしゃる自治体職員の方には頭が上がりませんが、残念ながら大災害発生直後は、政治家からの要望数が激増する期間でもあります。何故ならば、政治家にとって分かりやすいアピールができるチャンスだからです。

「防災対策のために〇〇をする」

これは誰にも分かりやすく、誰にとっても聞こえがいい言葉です。

関係のない人がいません。

つまり票につながります。

 

政治家の先生方は、発災直後の公務員がどれだけ忙しいかどうかには、あまり関心がありませんので、次から次へと寄せられる要望を指示していきます。

ただでさえ疲労がピークに達している時に、「今はそれじゃない」ことを次から次へと指示されれば、誰だって嫌になります。

 

被災地を内閣総理大臣が視察に来るというだけで、一体何人の職員がその準備作業に時間をとられるのでしょうか。

 

液状化現象により水がなかなか家に来ないことについて、政治家の先生に「行政の対応が遅いからなんとかしてくれ」と言うのは簡単ですが、発災後すぐに、全ての水道管を繋げるのは不可能です。被災した自宅へ戻ることもできず、徹夜で対応している職員をただただ追い詰めるだけで、事態は何も好転しません。

 

行政に対して要望することは必要ですが、何を言っても許されるわけではありません。
無茶苦茶な要望に対しては、もっと行政機関は怒っていいと思いますが、それを許してくれるだけの政治家の度量が無いことが悲しいです。

 

せめて私は、特に今回のような大災害時には、同じ人間として、お互いの事情を考えられる人でありたいと思います。