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日本社会が嫌になってインドに行ったときの話

これまで2回転職をした経験のある私ですが、新卒で入社した1社目を辞めてから1年余り、無職の期間を経験しました。

 

日本は転職者に対する風当たりが異常に強い国ですが、無職である人に対してはさらに強く、「無職=犯罪者予備軍」だと思われているといっても言い過ぎではないと思っています。実際の犯罪者に無職が多いということが、大いに関係しているのでしょう。

人にはいろいろ事情があり、意図せず会社を辞めざるを得ない状況になる方もいますし、自分の進みたい分野へ進むための意味のある退職・転職もあるのですが、世間の無職を見る目はほぼ同じです。

 

もちろん私はこれまでに犯罪など起こしたこともありません。善良な日本国民です。

無職の間にも税金を納め、資格取得の勉強や、転職活動をしており、決して毎日が日曜日のような気楽な生活をしていたわけではありません。それでも無職というだけで精神的にとてもつらい思いをしました。

 

そしてある時期、日本社会に接することが苦痛で耐えられなくなり、なけなしの貯金を使って海外に行きました。その旅行先が、インドでした。

 

「インドで自分探しの旅」とか旅行パンフレットに記載されていたりしますが、実際にインドに行っても自分は見つかりません。


私がインドを選んだ理由は、日本とは文化も、経済状況も、治安も、言葉も、人種も全てが違う国であったからです。ただただ、日本社会の要素がない国に行きたいと思ったからです。理由があるようで、理由のない旅でした。そして、とても衝撃的な旅でした。

インドの空港

実際に行ってみたインドは、私が思っていたよりも経済が発展していました。

エリアによっては、日本の都会にあるような大きなマンションが立ち並ぶ地域もあります。

 

旅行にあたって、私は「ラジさん」というインド人の通訳とインド人の運転手を旅行会社を通じて雇い、車を一台貸し切りで手配して、インド国内を移動しました。

公共交通機関を無事に利用するだけの言語スキルがないと判断したため、そうしたのですが、空港到着後にホテルに向かう道中で、いきなりインドの車事情にまず驚かされることになります。

インドの車

車に乗っている間、ずっと周りの車からのクラクションが鳴り響いています。そして私の雇った運転手も3秒に1回くらいのペースでクラクションを鳴らしていました。

始めはヤバい運転手にあたったのかと思いましたが、「インドではクラクションは安全な運転のために欠かせないものである」と通訳の方が教えてくださいました。

 

インドでは、周りの車や人に対してクラクションを鳴らすことで、「自分の車がここにいるぞ」ということをアピールして、注意を促すという役割があります。

 

私が乗ったタタモータース製の車には、ウインカーが付いていましたが、これは基本的に使いません。車線変更(但し、多くの車線は日本のようにキッチリしていませんが)する際にもウインカーを使うことはありません。クラクションを鳴らしまくって車線を変更します。細い路地で車とすれ違う時にも、これでもかと鳴らしまくります。


日本のようにクラクションを鳴らされたことに腹を立て、後ろから煽ってくる人はいません。クラクションを鳴らすことが当たり前の文化です。

 

インドには人が多いですが、人だけでなく、郊外に出ると動物もたくさん道路上を歩いています。牛などの日本でも見かける動物に加え、ゾウやラクダにも遭遇します。停車中にすぐ横でラクダが草を食べ始めたのには笑いました。確かにゾウやラクダには、小さく点滅するウインカーよりも、大音量のクラクションの方が効果ありそうです。

 

交通事情に加え、もう一つ衝撃的だったことは、エリアによって貧富の差に天と地ほどの違いがあるということです。

インドの町

経済発展しているエリアには、グッチ等のブランドショップがあります。メニューが個性的なマクドナルドもあります。ただし、少しそのエリアを離れるだけで、満足に家も持たない乞食だけのエリアにたどり着きます。


そして、観光客の車が来たと分かると、すぐに寄ってきます。渋滞で停車すると、あっという間に乞食に取り囲まれます。ジェスチャーで「何か食べ物をよこせ」と訴えてきます。通訳の方からは「決して目を合わせないように」と言われました。目を合わせるとその行動がエスカレートしてしまうからだそうです。


泊まったホテルでも、あまり油断してはいけません。夜に出歩くなどもってのほか、「夜にすれ違う人全員を、悪人だと思ってください。」と通訳さんに言われました。もはやアウトレイジの世界です。ホテルの前には警備員が数人おり、その全員が大きな銃を抱えていました。観光客が持つ金品を狙った乞食の襲撃に備えているそうです。

 

 

通訳の方がおっしゃっていました。乞食になる人間の多くが教育を全く受けていないそうです。

そして、教育を受けていないが故に、乞食以外のまともな職業に就く術を知らないそうです。つまり「乞食以外の将来ビジョンが頭の中にない」ということです。

 

一方、日本では、新卒採用の学生が会社に属してサラリーマンになることが一般的です。それは決して悪いことではないですが、サラリーマンにならない職業選択の自由もあるのにも関わらず、多くの方はそれを選びません。

それにはいろいろな理由があると思いますが、理由の一つとして、「サラリーマン以外の職業に就くというビジョンが頭の中にない」という方もいると思います。実際、私はそうでした。

 

〇〇という職業があることを知らなければ、〇〇を目指すこともない。

 

そういう意味では、少し考えさせられる話でした。

教育の大切さや、社会人になる前に世の中を自分の目で良く見ておくことの大切さを感じた気がします。ちょっと私は気づくのが遅かったですが…。

 


さて、テレビのバラエティ番組の中では、インドといえばタージマハル等の超有名スポットの美しさに焦点があたります。

タージマハル

言いかえると、テレビ放送に耐えうる綺麗な場所しか紹介されていません。

 

私もタージマハルに行きましたし、感動もしましたが、正直インド旅行はいたるところにツッコミ所が多すぎて、それどころではありませんでした。

 

インドで「円をルピーに両替したら、その半分以上のお札に血が付いている」とか、「トイレを済ませると、手を拭くための紙を渡してくれる係の人が必ずいる」とか(その人にチップを払わなければ、トイレから出られません)、常に緊張感を持って旅をしていました。

 

でも、インド旅行で一番心に残ったのは、タージマハルではなく、ラクダの近くを爆走する車でもなく、乞食になるためだけに毎日を過ごす、小さな子供達かもしれません。

 

そして、インドの劣悪な治安を通じて、日本のおかれた環境に感謝することもできました。

少なくとも私は安全な街に住み、深夜に歩いてコンビニに行くことができ、自分のやりたい仕事を決めることができます。そして、その仕事を辞めることができます。

 

インドはとても衝撃的で、ある意味魅力的な国ですが、日本人一人での行動は絶対にお勧めしません。

必ず旅行会社を通じて雇った現地の通訳等と共に移動し、可能であれば運転手付きの車をチャーターしてください。インドで車を運転手付きでチャーターしても、全然高くありません。

 

今回お世話になった通訳さんからお聞きしましたが、一人で旅行している観光客に優しい言葉をかけて近づき、睡眠薬を飲ませて、持ち物が全て盗まれるという事件が、過去に多発したようです。そしてその観光客の多くが二度と目を覚まさなかったそうです。

 

インドが魅力的な国であることは否定しませんが、テレビが放つ「インドの世界遺産は素晴らしい」という、ステレオタイプなイメージだけで、安易に単身バックパッカーにならないよう、十分ご注意ください。